憲法審査会での意見交換

12月6日、憲法審査会において、我が国の緊急事態対応に不可欠な国家機能の維持をはかるため、憲法改正の議論を具体的に進めていくべきとの意見を述べました。

発言内容

『参議院の緊急集会については、衆議院議員の不存在により国会が召集できない場合に緊急の必要が発生したときに、総選挙による衆議院議員が選出され、国会が召集されるまでの間、できる限り民主政治を徹底しながら暫定的な処置等を可能にするものであり、まさに二院制における参議院の極めて重要な役割であります。

 同時に、日本国憲法は二院制を採用しております。

その理由は、一九四六年末、帝国議会に提出された参議院議員選挙法案、現在の公職選挙法についての大村清一内務大臣の説明によれば、衆議院と参議院の両院の長所と欠点を相互に補い合う慎重な国会審議を行うためとされています。

このことからすれば、日本国憲法が採用する二院制国会は衆参両院がそろって活動することが原則であります。

そこから、憲法五十四条二項の参議院の緊急集会は、参議院の極めて重要な役割ではありますが、衆議院の解散中の空白を埋める二院制の例外として位置付けられているものと考えられます。

 つまり、参議院の緊急集会があっても、衆議院議員の不在が長引くということを憲法は想定していません。

緊急集会の権限についても、国会の全てに及ぶと解されているわけではなく、特に総理の指名については否定的な見解が大半です。

そして、このような見解によりますと、国の存亡に直面するような海外からの軍事攻撃や国土に壊滅的な被害を与える自然災害に直面した場合において、総理が欠けた、あるいは欠けていたときには参議院の緊急集会では新たな総理の指名について対応し切れない事態となりかねません。

そして、このような事態は起こり得ます。

関東大震災発生当時、加藤友三郎総理は震災の一週間前に死去、後任の山本権兵衛総理は天皇陛下による大命降下に基づいて震災発生の翌日に任命され、組閣をしております。

 国家の存立が脅かされる危機的な事態にあっても国家機能を維持し、それをもってしっかりと国と国民の皆様の安全を守り抜くことができる揺るぎのない案を国民の皆様に示し判断を仰ぐことは、私どもの大きな役割の一つと考えます。

 その観点から、私は、緊急集会の議論と併せて、衆議院、さらには国会議員の長期にわたる不存在や召集不可能時への対応、そして他国の憲法にあるような緊急政令等の制度、これらに係る憲法改正の議論を整理された論点ごとに具体的に条文化を目指して進めていくべきであると考えます。』

※憲法審査会とは、

『憲法審査会は、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査する機関。』です。(https://www.kenpoushinsa.sangiin.go.jp/index.html)より